2016年11月09日

連想する読書と恣意的な読み、そして触れると痛い場所

ビフがトップ・オブ・トップになるような世界線で私たちはどう生きていけばいいのでしょう。
そんなことを思いましたが、日本の、東京にいる者がそんなことを言えたものではありませんね。
どうかどうかどうか……
ごきげんよう、こうやです。
政治と宗教の話はしないとなるべく努力しておりますが、あまりにもホットワードすぎて、つい。
あと、この頃読んでいる本が、ね。

さて、以前のブログにも書いたとおり、重松清『赤ヘル1975』に大変感銘を受けたこうやさん。
もっとそのあたりのことを知りたいと思って本棚を捜索、半藤一利/湯川豊『原爆の落ちた日【決定版】』を発見しました。あまりにも知識の薄いこのあたりのことをきちんと知りたいと思って買った本でしたが、予想を遥かに超えるところから読みごたえたっぷりで引き込まれてしまいました。
1945年8月6日と9日は、終わりでも、始まりでもなかった。
そんなことを痛感する本です。
原子力の兵器使用の研究がそんなにも昔から行われていたこと、そんなにも各地で行われていたこと、そんなにも急いで、焦りとともに行われるほど、欧米にとってのヒトラーが脅威であったこと……つい先日、アイドルの衣装や振り付けがナチスを連想させる(どころかそのものだった、とも)ものだったとして大きな批判を浴びていましたが、70年経った今も触れることがタブーとなるほど、ヒトラーは熱狂を生み出すのが上手く、充分に対策をとっておかないと簡単に罹患してしまう甘美な毒なのだなと。現在形で語れてしまう恐怖なのだと、肌で感じられました。
その一方で、『ドリフターズ』の「妖怪首おいてけ」こと島津豊久を笑えないほど、勝手に狂って突き進んでいく暴走車の日本。あまりにも全身全霊で狂うから、その奥のひしゃげた本体を見誤って過大評価されてしまうほど、唖然とする狂いっぷり。
でも、それを止めるための悲壮な覚悟も何もないんだよね。新型兵器の実験台だね。その実験台に、大喜びでよじ登っていったのが、日本だったという……話だね。
日本という国を形作る、ありもしない錦を掲げた猪突猛進な狂騒の精神に、怒りを通り越して憐れみすら感じます。でもそんな狂った一部に自分がいるの、とても耐えたくない。
科学者たちの探究心は素晴らしいと思います。予想と実験、失敗と成功。あるべきものを見出し、その性質を解き明かす。世界の謎を解いていくその行為には善も悪もありません。
存在に罪はない。その使い方が問題だ。
どれかひとつでも正しく届いていれば、あるいは変わったかもしれない。
もしこのときこうなっていれば、こんなことにはなっていなかったかもしれない。
ifを重ねても無意味かもしれませんが、変えられない過去を変えようとして何度も巻き戻ってしまう暁美ほむらちゃんの気持ちが分かる気もしました。
読了直後のメモより。
「読了、あまりにも愚かで狂信的な日本にどうしようもない絶望を感じ、科学と政治、科学と軍事の深い溝に愕然とする。心ある人たちによって未然に食い止められた悲劇も多数あるのだろうが、食い止められなかった悲劇のifは忘れられることなく続く。」
要するにこういうこと。

そんな暗くなった心を明るく照らす、広島東洋カープのクライマックスシリーズ突破の報。
あわせて赤ヘル特集を組んでいた本屋さんで、そのものずばりなタイトルを見つけて思わず買ってしまいました。
安西巧『広島はすごい』は、タイトルそのまんまな新書です。広島出身の企業・創始者や球団・選手のエピソードを紹介して、広島の県民性やこんなところがすごいと褒め称えている本。
半藤さん、湯川さん同様、安西さんも広島出身ではありません。つまり、広島出身以外の人が調査を重ねて広島を描いたものではありますが、どちらも現代の人が広島を書いているため、どうしても通底する意図があります。そしてそれを選んで読んでいったわたしも実に恣意的な読み方になってしまったなぁと感じました。
曰く、咎なくして悲劇に見舞われた街の人びとが、復興を目指す過程で、こんな風に立ち直り、あるいはすがり、あるいは支えにしていったということ。体験し続けることによる強い同族意識と諦念の排他性……そんなものがあるのではないかと思いながら読んでしまうので、やはりそうかと納得してしまうのです。
自分の想像するストーリーをあらかじめ描いていて、それに沿うように本を選び、読んだなぁ。
まあ、いいのだけれど。それをきっかけとして読んで、やがて修正できればいいな。
そんな風に思います。
その流れで、前評判のおそろしく良い映画『この世界の片隅に』の前売券も買ってしまいました。
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こうの史代さんの同名漫画を原作にしたアニメ映画?で、『あまちゃん』で一世を風靡した能年玲奈ちゃん(今はのんちゃんとして活動)が主人公のすずさんの声をなさっておいでだとか!
監督も評判の良い方とのことで、とても楽しみです。
映画まで観た後に書こうかとも思ったのですが、むしろその前にいったん区切っておきたかったので、このあたりで。

そんなことをぼんやりまとまらないながらに思いつつ、気分転換のために『高慢と偏見とゾンビ』に取り掛かってみました。
本屋さん5軒探して見つからなかったので、hontoで頼んでしまいましたよ。郵便受けに突っ込んでおいてくれるし、読みたい本が決まっていればおそろしく便利なのね!ネットワークってすごいわ……
内容というか文章はほぼほぼ『高慢と偏見』だし、むしろゾンビ要素が入ることで現代の日本人であるわたしには肌で実感しにくかったポイントがすんなり理解できてしまった気もしました。オマージュというにはそのままだし、でもなんかべらぼうに面白かった!
映画公開の記念に、ゾンビ苦手ながら読んだのですが、素晴らしい早さで公開縮小してしまっているようで焦ります。円盤でも良いから一度は観たいけど、果たして映像化したゾンビにわたしは耐えきれるのかしら……

しばらくは骨休めに別の本を読みあさっていますが、そのうち『わが闘争』にチャレンジしてみたいと考えています。そのときのカウンターには何を持ってこよう。やはり『夜と霧』でしょうか……
ちょっと肌身で何かを感じているのか、最近すっかり興味の対象がこのあたりのこうやさんなのでした。



しかしだね、やっぱりね、知れば知るほどこの国が核兵器禁止条約に反対するのはどう考えてもおかしいと思うのだ。思うのだよ。
知らぬ間にまた、狂騒を選び、暴走していくのでないといいな……はかない願いを込めて。
この願いをはかないと見てしまわなくても済む世界であることを祈って。そんな愚かな国に住んでいるのではないと、祈って。
せめて知っておきたいものですね。それがたとえ不完全な知識でも、ないよりは。
posted by こうや at 20:39| 東京 ☀| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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