2016年09月28日

須賀しのぶ『帝冠の恋』を読んだ

なんかアンニュイめなブログ書いた直後で申し訳ないのですがちょっとこれは書くよ。
これは書くよ。

ツイッターで見かけておや、と思った名前があります。
それは、昔、わたしがむさぼるように読んだコバルト文庫の作家さんのひとりの名前。
須賀しのぶさん。
コバルト文庫の中でもかなり骨太めな作風で、幼いわたしはそれは夢中になったものですが、そういえばあのシリーズ大好きだったのに新刊を待ちきれず離れてしまったな……
そんなことを少し甘酸っぱく思い出していましたが、直後に目を剥きます。
そのツイートは出版社の宣伝で、なんとそんな須賀しのぶさんが、ゾフィーを主役にした作品を手がけたというのです。
ゾフィー。
その名を聞いてハッとしないヅカファンはいません。いませんよね?
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン伯爵の妹さん?と思った方は原作を読み込んでいますね。確かに同名ですが違います。
ゾフィー。
宮廷でただひとりの男と噂される、皇太后ゾフィー。
そう。ハプスブルク最後の皇帝たるフランツ・ヨーゼフ1世陛下のご母堂にして、エリザベートの姑にして最大の敵、あの、ゾフィーです!
旧体制の権化、最悪の姑の具現化として大変苦手な(個人的な意見です)あのゾフィーの若かりし頃だなんて、とても想像できません。
しかもそれを描くのが他ならぬ須賀しのぶさんですって?
ツイートを見た直後に本屋さんに走り、さっそく文庫を入手したこうやさん、あらゆる準備を整えて、万難排した本日、ついに読み始めたのでした。

そして、読み終わった今、激情の余韻に心がまだ躍っているのを感じます。
時は19世紀後半。帝国の中興の祖たるマリア・テレジア(c︎『ハプスブルクの宝剣』)に憧れを抱く若き才女ゾフィーの天真爛漫な少女時代から物語は始まります。
隣国フランスは度重なる政治不安(c︎『ベルサイユのばら』『スカーレット・ピンパーネル』)や欧州中から憎まれたナポレオン失脚(c︎『太陽王』)の後、名宰相メッテルニヒにより築き上げられたウィーン体制にも陰りが見えつつあるところ。
当時としては当然の、政略による見合い結婚の結果、年老い衰頽の見えているオーストリアに輿入れしてきたのは、バイエルンの陽射しをたっぷりと浴びて育った「ヨーロッパの薔薇」と讃えられるゾフィーなのでした……
もうさ、この時点でさ、分かるじゃん。この先がさ!
しかもこの描かれ方をするゾフィーがいずれ「あの」ゾフィー(c︎『エリザベート』)になることを知っている我々からすると、もはやこれはエピソード4〜6を知り尽くした者にとってのスターウォーズエピソード1でしょ!?
どうしたらこれがこうなってああなるのよ!って!なるでしょ!!!!!
なったの!!!
なったのよ!!!
しかもあの場面で終わるしうそでしょまじかよこうつなげやがってってなるの!!!

ネタバレを避けるあまり意味がわからなくなっていますがわたしには見えるのです。
あの場面でのひそひそ声のコーラスが。
あの場面での絞り出すような咆哮のアカペラが。
静かに佇むソロが。
熱狂のアンサンブルが。
まるで一編のミュージカルを見るかのごとく、煌めいて上演されていたのです。

ここから、あれがああなって、ここに向かって走り出していき(c︎『エリザベート』)、それでもってこっちは実はこうなって(c︎『うたかたの恋』)そしてああなっていく(c︎『1914/愛』)ああーなるほどーなるほどねーって、なっていくのです。
……自分でも書いていてこのあたりの宝塚の手厚いフォローにびっくりしてますが、とにかく脳内上演とあれとこれとそれがつながっていく快感と何より萌え転がりました大好きですこういうの大好きです。

いまわたしが挙げた作品に少しでも愛着のあるヅカファンのあなた。
宝塚知らないけれど西欧史好きなあなた。
女性の活躍が好物なあなた。
イケメン好きのあなた。
なんとなく勢いに押された、あなた。

読んでください。
そして、その後、東宝版『エリザベート』を、観ましょう。
たまらなくなりますから。
いろいろとたまらなくなりますから。

ぜひ、読んでください。

須賀しのぶ『帝冠の恋』徳間文庫2016/9/15発行。
本体価格660円。

千円握りしめてもらったお釣りで近所の喫茶店でコーヒー片手に読んでください。
そして、人目があって萌え転がれない叫べない思いを共にしましょう。

ぜひ、読んでください。

たぶんこれ、ゾフィーの固定観念がある方のほうが、より衝撃を受けると思います。
そして単純にわたしが、わたしがこういうの好きなのです。

あー!

あーもう!

物語って、最高だなあ!!!
posted by こうや at 21:24| 東京 ☀| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]