2013年01月20日

【c27-1】ふしぎなおみせです

おしゃべり禁止のお店があります。
一人の時間をのんびり過ごすことが求められる、お店です。
店内には観葉植物が生い茂り、熱帯魚が優雅に泳ぎ、そしてうっとりするほど、本があります。
喫茶店激戦区の中央線沿い、高円寺にあるその不思議な喫茶店の名前を、「アール座読書館」といいます。
元々好きなお店ではあるのですが、なんといっても激戦区にあり、あのあたりは他にも行きたいお店が山ほどあるので足は遠のくばかり。
でも時どき、どうしようもなく無性に、ここのカルダモンココアを飲みたくてたまらなくなり、帰巣本能のようにふらふらと急な階段を上がってしまいます。

駅からアーケードの商店街を進み、ふらりと右に曲がると、雑居ビルの一角、階段の根元にぽつんと看板が置かれています。
素っ気ないけれど目を惹くそれこそが「アール座読書館」の目印。
急な階段を上がり、重たい金属製の扉を開けると、人がいないかのように静かな空間が開けます。
さらにいうと、ビルの一角であることが一瞬信じられなくなるような、空間です。
伺うたびにほぼ満席なのですが、それぞれのお客さんが自分の世界に浸っているため、驚くほど静かです。塾の自習室の方がよほどうるさいくらい。
こぽこぽと水槽のエアーが鳴り、またコーヒーや紅茶を作る音が響くだけの。
実に落ち着く空間。
注文すらも気が向いたときにすればいいという面白いシステムですが、なにぶんそれが目当てで来ているので、さっそく注文します。カルダモンココアです。
くつろげるように身の回りを調えつつ、早くもこの不思議な空気になじみぽかーんとしていると、そっと、カップが置かれました。
IMG_2949.JPG
カルダモンココアです。
元々ココアが好きで、特に冬になるともうたまらず隙を見てはココアを飲んでいるのですが、未だに(普通のココアならともかく)アレンジココアでここのカルダモンココアより好みのココアを飲んだことがありません。
それくらい好きです。
口に含むと、カルダモンとココアの香りが鼻と口を覆い、やがて食道を伝わり胃の腑に広がる、そこまでが妙なる調べを聴いているがごとくしあわせで、全身がこの飲み物を取り入れることのよろこびに震えているようで、ふくふくとします。
そしてここで本を読むことの、この、なんというか、たとえようもなく贅沢な。
自分の部屋のようにくつろげるのに、自分の部屋ではあり得ない独特の雰囲気が広がっています。

……本に没頭していたら、飲み物がなくなってしまいました。
ふらりと追加注文です。
IMG_2955.JPG
次に頼んだのは、ブラジル・ブルボンのコーヒーと、クッキー盛り合わせ。
コーヒーは可愛らしいポットに入ってやってきます。カップもおままごとのように小さくて、エスプレッソを飲むようですが、ドリップコーヒーなのです。このなんともいえないおままごと感も、アール座読書館のファンタジーを下支えしているのではないかと思ったり。
クッキーは紅茶のほうが圧倒的によく合うなぁと思いつつ、のんびりいただきました。ここのブラジルコーヒーは実に舌に合います。ふふふん。

気づけば高かった陽もすっかり地面にもぐってしまっています。
夢から醒めたような気分で階段を降りると、なんだか世界が愛おしく感じられました。
自分が「往きて帰りし物語」の主人公になったような気分です。
不思議なお店、アール座読書館。
またそのうち、現実に疲れてしまったらまたお邪魔したい。
そんなことを思える、喫茶店でした。

……おっとそうそう、最後に。
ここのメニューはほとんどが飲み物で、それも一風変わったものばかりなのですが、お茶もおもしろいものがあります。
アールグレイや蓮の紅茶、八宝茶、プーアル茶、そして、ラプサンスーチョン。
アールグレイとラプサンスーチョンをどちらも楽しめるというのは粋ですよね。
飲み比べるのも楽しいかもしれません。
そしてラインナップが「中華」なのも、お茶の大元のはじまりを考えると納得がいきます。
お店自体も洋風のようでいてどこかオリエンタルな、エスニックな雰囲気をまとっていますしね。
おまけといってはなんですが、この雰囲気を持ち歩きたくて、いま私のあいほんの壁紙はこのお店の本棚だったりします。
いくら眺めても飽きません。しばらくは、このお店の魅力を引きずってしまいそうです。

店名  :アール座読書館
所在地 :東京都杉並区高円寺南3-57-6 2F
最寄駅 :JR中央線他 高円寺駅
営業時間:平日 13:30〜22:30
     土日祝12:00〜22:30
定休日 :月曜日
公式HP:http://r-books.jugem.jp/
参考予算:コーヒー(ブラジル)¥650-、カルダモンココア¥650-
posted by こうや at 20:00| 東京 ☀| Comment(0) | 珈琲屋さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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