2012年02月26日

怪談えほん。

本の感想が続いているので、その流れに乗って。

私は割と雑食気味に本を読むので、統一感がないのですが。
最近、オススメされてすっかりハマってしまった本があります。
それは、「怪談えほん」シリーズ。
岩崎書店さんの企画、東雅夫さんの監修というかなり本格的な「怪談」で「絵本」のシリーズ。
執筆陣も、宮部みゆきさん、皆川博子さん、京極夏彦さんなど実に多彩。
今までになかった、「子どもが夜ひとりでお手洗いに行けなくなるくらい怖い絵本」のシリーズです。

宮部みゆきさん作、吉田尚令さん絵『悪い本』。
悪い本 (怪談えほん1) [単行本] / 宮部 みゆき (著); 東 雅夫 (監修); 吉田 尚令 (イラスト); 岩崎書店 (刊)悪い本 (怪談えほん1) [単行本] / 宮部 みゆき (著); 東 雅夫 (監修); 吉田 ...二人称で描かれたこの作品は、最初、怖くないような気がして、でも、じわりじわりとその怖さが自分に迫ってきて、理解するとすうっと血の気が引くような、そんな作品でした。
ゆっくり、じっくり、読んでください。
本当に、怖いです。
私はなぜか(いえ理由はあるのですが)北村薫さんの『スキップ』三部作を思い出しながら読みました。

皆川博子さん作、宇野亜喜良さん絵『マイマイとナイナイ』。
マイマイとナイナイ (怪談えほん2) [単行本] / 皆川 博子 (著); 東 雅夫 (監修); 宇野 亜喜良 (イラスト); 岩崎書店 (刊)マイマイとナイナイ (怪談えほん2) [単行本] / 皆川 博子 (著); 東 雅夫 (監修)...すごく上質の幻想文学が持つ怖さです。
つい最近皆川さんの『開かせていただき光栄です』を読んだばかりだったので、その世界観と勝手にリンクさせてしまい、さらに幻想的な世界に浸っていました。
すごく、泉鏡花さんの作品を読み足したくなるような、そんな、うつくしい作品。
きれいはきたない、きたないはきれい。
これはシェイクスピアですが。ああ、そんな言葉がぴったりな、絵本です。

京極夏彦さん作、町田尚子さん絵『いるの いないの』。
いるの いないの (怪談えほん3) [単行本] / 京極 夏彦 (著); 東 雅夫 (編集); 町田 尚子 (イラスト); 岩崎書店 (刊)いるの いないの (怪談えほん3) [単行本] / 京極 夏彦 (著); 東 雅夫 (編集);...直球www キタwwwww
今までの中で一番怖いです。怖い。これ怖い。
もう、直球の、ザ・怪談。怖い話。
出てくるお家は誰もが身近に感じた経験がありそうな、ああ、あの、何かが出そうな感じの、お家で、そこに、いるの、いないの。
そう。いるの、いないの、なんです。
認識論的な話もありーの、お話自体には全然関係ないところに仕掛けがあってそれが面白い反面ちょっとぞくっとしたりもして。
はあ。京極さんがここまで文章をそぎ落として、芯に残る怖さって、すさまじいものがあるな、と。
思いました。

恒川光太郎さん作、大畑いくのさん絵『ゆうれいのまち』。
ゆうれいのまち (怪談えほん4) [単行本] / 恒川 光太郎 (著); 東 雅夫 (監修); 大畑 いくの (イラスト); 岩崎書店 (刊)ゆうれいのまち (怪談えほん4) [単行本] / 恒川 光太郎 (著); 東 雅夫 (監修);...この世界観、私、大好きです。もしかすると一番好きな絵本かも。
単純に怖い、ちょっとした冒険譚というだけでなく、これを比喩として捉えると大人も活発に議論できる、その手がかりとしての絵がここまでくるとかなりアーティスティックだったりもして、もう、これの、完成度は、すさまじいものがありますね。
すごく良いです。
恒川さん、私は「ホラー大賞受賞者」ということで敬遠していたのですが、こんなうつくしく流れるような文章を書かれる方なのかと、俄然興味が湧きました。
ずっと気にはなっていた「夜市」、読んでみようかしら。
これはもう王道の児童文学、それこそ柏葉幸子さんの『霧のむこうのふしぎな町』などを読みたくなるような、そんな作品。

そして最後。加門七海さん作、軽部武弘さん絵『ちょうつがい きいきい』。
ちょうつがい きいきい (怪談えほん5) [文庫] / 加門 七海 (著); 東 雅夫 (監修...ちょうつがい きいきい (怪談えほん5) [文庫] / 加門 七海 (著); 東 雅夫 (監修); 軽部 武宏 (イラスト); 岩崎書店 (刊)これはまだ発売されていません。読むのが楽しみです。もうでも、ちょうつがい、が、きいきいって、それだけで怖い……

怪談えほんは読めば読むほど好きになるシリーズで、好きすぎてイベントにも参加させていただき、編集者の方の生の声をたくさん聞いてますます好きになりました。
絵本は誰が読んでもいいものです。対象年齢なんてあってなきがごとし。子どもも、大人も、それぞれに楽しめればそれだけでいいのです。
そんな風に感じました。
だから、絵本だからといって、大人が躊躇する必要はないのです。
実際、成人してから、いったい私は何冊絵本を読んだか。部屋に何冊絵本が増えたか(笑)
それに執筆陣も実に豪華ですし、たいへんゴージャスな内容だと思います。
ぜひ、ご一読ください。
そしてできれば、そろえて、本棚の隅にそっと……しまっておいてください。
いつか、子どもがそれを「見つけ」て、そして、このおそろしくもうつくしい世界に旅立てるように……

『悪い本』で(国産)ホラーの基本を、『マイマイとナイナイ』で幻想文学の基本を、『いるの いないの』で怪談の基本を、『ゆうれいのまち』で児童文学の基本を、学べると、私は思います。

さあ、あなたは、この えほん を読んで、

どんなことを、感じるでしょうか……
posted by こうや at 22:00| 東京 ☁| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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