2011年10月27日

SF=「すごく」「皮肉」

正しく書くと「SH」になっちゃいますけどwww

今日は活字文化の日だそうで、今日から二週間くらい読書週間とのことだったので、せっかくだし久々に読書感想でも書いてみようと思います。

アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA) [文庫] / 山本弘 (著); 大石まさる (イラスト); 早川書房 (刊)
山本弘さんといえば今かなりの勢いと知名度をもって語られるSF作家さんだと思いますし、SF界に疎い私でも何冊も読んだことがあり、SFファンにもあまり興味のない方にでも楽しんでもらえるような読みやすい作品を多く物している方だと思います。
そんな山本氏による短編集、刊行は去年ですがなかなかタイムリーなものが多く、なおかつとんがっていて面白かったです。
表題作は「おやおや、この経緯聞いたことがあるぞ」と、読み終えると同時ににやりとしてから薄ら寒くなること請け合い。もうほんと……これがSFであることを、すなわち予言とならないことを祈るばかりです……
個人的に最も怖かったのは、「リトルガールふたたび」でした。
や、これ、笑い話じゃないだろ! 怖すぎた……なんというかもう……歴史はね、繰り返しますよね。ギリシャ時代から人間はカケラも変わっていないのです。
ただ気になるのが、あまりにも直接的なメッセージすぎて読み込むまでもないということ。目の前に調理済みのものをこれでもかとばかりにぐわん!と放り出されると、それはもうただのメッセージだよなあと……思ってしまったり……ああうう。
でも、面と向かってこれを叫べる人は少ないし、いてもネット上であまり外に出ることはないのではないかなあと思ったりもするので、そういう意味で「文学」に落とし込んで(本当に落としこめているかについては議論の余地がありそうですが)提示したという意味では大きいのかなと思いました。ラスト二編なんかはもうある種理想の世界ですよね。私含めて(笑)一部の人の理想郷。
人によってSFに求めるものは違うと思いますが、私はこういうSF作品は好物です。分かりやすく面白い皮肉。
あと「七歩跳んだ男」はミステリですね。タイトルからして西澤保彦さんの『七回死んだ男』を髣髴とさせてニヤリとしてしまいました。オマージュではないかもしれませんが、こういうゆるいつながりを自己満足的にでも見つけられると本当にしあわせな気分になります。

さて、SFといえば日本には数人の巨人がおりますが、恥ずかしながら実はほとんど手を出していなかったりします。
そんなわけで今さらですが神林さんをはじめて読んでみました。
狐と踊れ (ハヤカワ文庫JA) [新書] / 神林 長平 (著); 早川書房 (刊)
デビュー作を含む初期短編集の再編集だそうです。
「ビートルズが好き」だけは発表当時の空気を知っていないと良く分からないのかな、と思ってしまいました。当時のビートルズに対する人びとの印象や言説があって成り立つものかしらと(解説を読んでのイメージなので、特になくても大丈夫ですが)
先に挙げた山本弘さんが平易な文体でメッセージも分かりやすかった(分かりやすすぎた)のに対し、こちらは「訳が分からない」ものが多い印象。
でも、この訳が分からない感じもまた、SFならではかなと思ったり。
この人の独特の空気感はかなり癖になりそうなので、他の作品も読んでみたいと思いました。
表題作の「狐と踊れ」はかなり切ない気持ちになりました。ああ……そういう、意味だったのか……

上二作はどちらもベクトルは違えど(違うとはいえそれほど違いはしないともいえますが)非常にSF的な作品といえますが、それとは少し毛色の違う作品を最後に。
大正二十九年の乙女たち (メディアワークス文庫) [文庫] / 牧野 修 (著); アスキーメディアワークス (刊)
これは、かなりグッときました。
大正二十九年(もちろん存在し得ない年ですよ)、逢坂(大阪ではありませんよ)にある逢坂女子美術専門学校で出会った四人の女学生が、きな臭い世相や恐ろしい事件に立ち向かいつつ不器用に懸命に短い青春を生き抜いていく、作品です。
これは、ひどく鋭い青春小説。
いわゆるひとつの、あり得ない過去への憧憬を含んだ「青春」ではなく、誰もが心の内に抱え込んでいた、忘れたいものの表象としての醜さや暗闇や、そういったものを眼前にあらわした青春。
正直、SF、という括りに入れたくはありません。し、たぶんSFではない。すみません。牧野さんはSF作家といえると思いますがこれは青春小説です。
自分自身が好きなせいもあって、「大正」を元号とする時代の物語はたとえそれが架空であれ愛おしくなります。ましてや社会的に力を持たない乙女たちが自ら自身を武器に社会に名乗りをあげるものなんて、好きにならない筈がない。
胸が締め付けられるような閉塞感と、その先にあるすこんと突き抜けた青空。
目の裏に沁みる青空のような読了感を与えてくれる、良い、物語でした。

久々に書くとうまく感想を言語化できませんが、このあたりで。
最近適当に読んでいる筈の本がどれもどこかで共通していてどんどん緩くリンクして自分の中に広がっていきます。
その感覚は少し恐ろしいようでいて、なんともいえない快感に満ちていたり。
あくまでも自分本位のつながりですが、こうしてつながった先に新たな何かが見えたなら、それはすごく楽しいことだなあと思って。
それが少しでも伝わるように、つらつら書いていければなあと思います。
以上おしまい。
posted by こうや at 23:00| 東京 ☀| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]