2009年07月17日

【c13-1】平均律

0712heikin1.jpg以前原宿にあった伝説(?)の喫茶店、平均律。その喫茶店が学芸大学で復活したそうです。復活したこと自体ずいぶん前の話ですが……
先日ふとおいしいコーヒーを飲みたくなったので、このお店に初挑戦することにしました。
0712heikin2.jpgビルに挟まれた細い階段を昇ったところにお店は位置しています。向かいにパチンコ屋があるのですが、階段を昇り始めるとその喧騒は驚くほど遠くに感じられ、やや心細くなりつつ焦茶色の階段を踏みしめていきました。
昇りきって左手の引き戸を開けま……開け……あれ?
思ったよりも戸が重く、ぴくりともしません。両手で取っ手に手をかけて改めて力を込め、無事に開けることができました。

店内は重厚な焦茶色に沈み込み、黄色とオレンジ色の境程の淡くやわらかい光にぼんやりと照らされています。
入口は店の真ん中あたりにあり、右手奥には長椅子がコの字型にしつらえてあるテーブル席、左手にはステンドグラス越しに光が射し込むテーブル席が二つ、そして両側のテーブル席をつなぐように長いカウンターがありました。

勧められるままカウンターに座り、コーヒーとスコーンを頼みます。
渡されたメニューによるとコーヒーはいくつか種類がありましたが、好きな割に産地等に疎いため何が良いか見当もつきません。結局サントスブレンドを頼んでみることに。ブレンドは苦味系と酸味系の二種類あり、サントスブレンドは苦味の方でした。
カウンターの中で忙しげに動く女性を見るともなしに眺めながら店内を見回すと、一番最初に目に入ったのは大きな棚でした。カウンターいっぱいに広がる背の高い棚には、カップ&ソーサーがずらりと並んでいたのです!
軽く数えただけでも百客はあるであろうカップは、それぞれ個性的で如何にも可愛らしい。中には見覚えのあるウェッジウッドのジャスパーウェアやロイヤルアルバートのミセス・カーライルなどもありました。写真では何度もお目にかかりましたしデパートで仰々しく陳列されているのも拝見しましたが、実際に使われていることを感じさせるこの場所で見ると感慨もひとしおですね。

0712heikin3.jpgカップを一つ一つ追っていくだけでも、かなり時間がかかります。にやにやしながら見ているうちに、コーヒーがやってきました。エインズレイのカップに入っています。この派手な図柄、嫌いではありません。
黒々とした液体がたゆたうカップを揺らし、蝶々を溺れさせたりして遊んでいると、スコーンもやってきました。ほかほかに温められたスコーンに、ブルーベリージャムとサワークリームが添えられています。
揃ったところで「いただきます」
まずコーヒーをひと口。……飲んだ瞬間、目が丸くなるのが分かりました。
これは、なんて、おいしいのでしょう。
コーヒーに関しては素人同然、缶コーヒーもおいしく飲める私ですが、さすがにこのコーヒーが今まで親しんできたものとは異なる次元にいることがわかります。コーヒーにこんな複雑な味わいがあるとは。後味の酸味も決して嫌な感じがしない爽やかなものでした。
夢中になりブラックでふた口飲むと、その効果がたちまちあらわれます。頭の芯が遠くに引っ張られるような、冴え冴えとした酩酊。すごくおいしいけれど、とっても強い。
この味をミルクで変容させるのは忍びなかったので、茶色い角砂糖を一つだけスプーンに乗せ、ゆっくり溶かします。お砂糖だけでも味はマイルドになるのです。
さて、そしてスコーン。温められたスコーンは紙ナプキンとくっついてしまっていたので、慎重に剥がしてから二つに割り、まずはそのままひと口。バターの香りが鼻腔と口内に広がります。さくさくした食感と相まって、まるでビスケットのよう。
続いてブルーベリーとサワークリームをたっぷりと乗せます。サワークリームの酸味に一瞬驚きますが、思った以上にマッチするものですね。これもほろほろとおいしい。
しかし全ては素晴らしいコーヒーのお供に過ぎません。圧倒的な存在感で私の身体中をコーヒーが満たしていき、細胞が生まれ変わった気がします。

0712heikin4.jpg私の座ったカウンターのそばに振り子時計があり、チクタクチクタク……と時を刻んでいました。その刻み方が微妙に私のイメージするテンポと異なり、聞いていると徐々に時間感覚が狂っていくような錯覚に陥ります。私の思考回路や読んでいた本の中にその音が侵入していき、チクタクチクタクという時の刻みは大きくなったり小さくなったり膨らんだり縮んだりしつつ、私を取り囲み巻き込みうねるように捉えていきます。
その時計の音に思いきって身を任せ、ゆったりと本を読み、時に手帳に書き付けを残していると、たっぷりと癒されることができました。
コーヒーを飲み干して支払いを済ませ、引き戸をくぐり階段を降りると、むわっとした熱気とざわめきが押し寄せます。引き戸一枚を隔てて襲いかかる「現実」は逆に私に先ほどまでの「非現実」を強く意識させました。そしてふと時計を見ると、入店から一時間しか経っていません。あんなにのんびりしていたのに!どうやら私は、あの照明と振り子時計の音にすっかり幻惑されていたようです。
短い時間でもしっかり癒されたい方は、ぜひ一度お試しくださいな(笑)コーヒーのおいしさは折り紙付きですしね。

店名  :平均律
所在地 :東京都目黒区鷹番3-7-5 2F
最寄駅 :東急東横線 学芸大学駅
営業時間:
  月曜日 12:00〜18:00
  火〜金 12:00〜22:30
  土曜日 12:00〜21:00
  日祝日 13:00〜21:00
定休日 :
公式HP:http://www.heikinritsu-cafe.com/
参考予算:コーヒー¥600〜、紅茶¥600〜、スコーン¥250-
posted by こうや at 21:00| Comment(0) | 珈琲屋さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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