2008年08月30日

ビストロ名物、小さな謎

『タルト・タタンの夢』
著:近藤史恵
発売元:東京創元社
価格 :¥1,575-
発売日:2007/10

グルメ・ミステリが好きです。
グルメ・ミステリという区分があるのかどうかは知りませんが、「美味しそうな料理」と「うっとりする魅力の謎」というコンビネーションには、本当にたまらないものがあります。

下町の小さなフランス料理店、ビストロ・パ・マル。
自分の店に「パ・マル(悪くない)」なんて名前をつけてしまうようなちょっと変わった三舟シェフを筆頭に、物腰柔らかな志村さん、趣味が俳句のソムリエ・金子さん、そして語り手の高築くんこと「ぼく」の四人で日々気取らないフランス料理を提供しています。
そんなさまざまなお客さまが空っぽのお腹と一緒に抱え込んでくるのがこれまたさまざまな「小さな」謎。
それを、三舟シェフご自慢の裏メニュー、ヴァン・ショーとともに解き明かすというのが基本のパターンです。

ここで出てくるのは、殺人でも強盗でも強姦でも詐欺でもない、本当に日常にありそうな「日常の謎」ばかり。
真相が解き明かされなくても特に人生に直接大きな影響があるわけではないけれど、でも真相を知ることで少し世界の見方が変わるような。
ちょっとした人生のご褒美のデセールのように、もしくは顔を歪めずにはいられないスパイスのように。
ふと心に飛び込んでくる、でもとても優しい物語でした。
幸せな気持ちになります。
温かく美味しいフランス料理を味わったときのように。
posted by こうや at 22:00| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]